麻しん(はしか)とは
麻しん(はしか)とは、非常に感染力の強いウイルス感染症です。免疫のない子どもや大人に感染しやすい病気です。
感染初期は発熱、咳、鼻水、目の充血といったかぜ症候群のような症状が数日間続いたたとに、発疹が出現します。発疹は顔から全身に広がります。
麻しんは一過性の感染症ですが、合併症が発生すると重篤な症状となる可能性があります。
麻しんの合併症
- 肺炎
- 中耳炎
- 脳炎 など
大人が麻しんに罹患すると重症化しやすいとされています。高熱や症状が強く、回復までに時間がかかります。
また、妊婦さんが麻しんに感染すると、流産や早産、胎児の発育障害のリスクが高まります。妊娠前に特異的IgG抗体の検査や必要に応じてワクチン接種が勧められます。
診断
麻しんウイルス感染の診断には血液検査とPCR検査があります。
血液検査には、麻しんウイルス特異IgM抗体と麻しんウイルス特異IgG抗体があります。
- 麻疹ウイルス特異IgM抗体:感染直後にみられる抗体。陽性であれば急性の麻しん感染を示します。
- 麻疹ウイルス特異IgG抗体:過去の感染や予防接種による免疫の有無を確認します。陽性であれば、すでに免疫を持っていることになります。
PCR検査はウイルスの遺伝子を高確率で検出することができます。
治療
麻しんウイルスを標的とした薬はありません。そのため、基本は対症療法となります。
- 休養と水分補給
- 発熱・痛みがあれば解熱鎮痛薬
風しんとは
風しんは、風しんウイルスによる感染症です。
耳の後ろやリンパ節が腫れ、軽度の発熱が見られます。麻しんと同じような発疹が顔から全身に見られますが、3日間程度で消失するので「三日はしか」ともよばれます。
大人が風しんに罹患すると、関節炎などの症状が出やすく、まれですが脳炎や血小板減少性紫斑病といった合併症が報告されています。
特に妊婦さんが風しんに罹患すると、お腹の赤ちゃんに「先天性風しん症候群」を引き起こすリスクがあります。
特に妊婦さんが風しんに感染すると、流産や早産、胎児の発育障害のリスクが高まります。妊娠前に特異的IgG抗体の検査や必要に応じてワクチン接種が勧められます。
先天性風しん症候群の症状
先天性風しん症候群で生まれた赤ちゃんは、
- 先天性心疾患
- 難聴
- 白内障
- 発達障害
などの症状がでる可能性があります。
診断
風しんウイルス感染の診断には血液検査とPCR検査があります。
血液検査には、風しんウイルス特異IgM抗体と麻しんウイルス特異IgG抗体があります。
- 風疹ウイルス特異IgM抗体:感染直後にみられる抗体。陽性であれば急性の風しん感染を示します。
- 風疹ウイルス特異IgG抗体:過去の感染や予防接種による免疫の有無を確認します。陽性であれば、すでに免疫を持っていることになります。
PCR検査はウイルスの遺伝子を高確率で検出することができます。
治療
風しんウイルスを標的とした薬はありません。そのため、基本は対症療法となります。
- 休養と水分補給
- 発熱・痛みがあれば解熱鎮痛薬
大人の麻しん・風しんのワクチン
日本では麻しんウイルスと風しんウイルスのワクチンが混合されているMRワクチンが使用され、幼少期に2回接種するスケジュールになっています(定期接種)。
- 第1期:1歳~2歳未満に1回接種
- 第2期:5歳以上7歳未満で小学校就学前の1年間に1回接種
風しんの免疫がない世代
以前は子どものうちに自然に感染し、免疫を獲得していました。しかし、ワクチンが広まり自然感染の機会が減っています。
1990年4月2日以降に生まれた方は2回の定期接種を受けていますが、それ以前の方は免疫が十分ではない可能性があります。
1回のみ接種 | 1962年4月2日〜1990年4月1日生まれの女性 1979年4月2日〜1990年4月1日生まれの男性 |
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0回 | 〜1979年4月1日生まれの男性 |
あなたやパートナーは大丈夫?
妊婦さんが麻しんに罹患すると早産などのリスクがあり、風しんに罹患すると先天性風しん症候群の可能性があります。
大人でいうと、妊娠を考えている女性は免疫がるのかチェックをしましょう。もし免疫ができていなければ、MRワクチン摂取を行います。
パートナーや周囲の家族も免疫のチェックをして、必要であればワクチンを打つことで母子を守ることになります。
妊娠中はMRワクチンは使用できないため、もし免疫ができていない場合は周囲の家族や仲間の免疫を確認し集団で感染のリスクを下げます。
MRワクチンを接種することによって、95%以上の人が風しんウイルスに対する免疫を獲得することができるとされています。