骨折リスクを下げる!骨粗しょう症の薬物治療

骨粗しょう症に対する治療で用いられる薬剤には以下のようの種類があります。骨吸収をおさせる薬と骨形成を促進する薬とカルシウム製剤です。

骨吸収抑制剤

  • ビスホスホネート薬
  • SERM
  • カルシトニン薬
  • デノスマブ
  • ロモソズマブ

骨形成促進剤

  • 活性型ビタミンD3製剤
  • ビタミンK製剤
  • 副甲状腺薬
  • ロモソズマブ

カルシウム製剤

  • カルシウム製剤
コンテンツ

骨の吸収を抑える薬

ビスホスホネート薬

ビスホスホネート薬は、破骨細胞が骨吸収しているときに取り込まれ、破骨細胞をアポトーシス(細胞死)に至らせる作用があります。その結果、骨吸収が抑制されます。

ビスホスホネート薬は、その構造から第一世代、第二世代、第三世代と分類されています。第一世代と比較して、第二、第三世代は強力に骨吸収が抑制されます。

  • 第一世代:エチドロン酸
  • 第二世代:アレンドロン酸、イバンドロン酸
  • 第三世代:リセドロン酸、ミノドロン酸、ゾレンドロン酸

ビスホスホネート薬の効果

ビスホスホネート薬は骨密度上昇効果が示されています。

すべてのビスホスホネート薬で椎体骨折の抑制効果がしめされています。一部の薬では大腿骨近位部骨折の抑制効果も示されています。

ビスホスホネート薬の注意事項

ビスホスホネート薬は飲み方に注意が必要であったり、顎の骨が壊死する顎骨壊死などの副作用が起こる可能性があります。詳細は下のリンクでご確認ください。

SERM(選択的エストロゲン受容体調整薬)

エストロゲン低下が骨強度を低下させる。SERM(選択的エストロゲン受容体調整薬)はエストロゲンのような作用を持ち、骨代謝のバランスを調整する薬である。適応は「閉経後骨粗鬆症」となる。

ホルモンの影響で静脈血栓塞栓のリスクが知られている。足のむくみや突然の呼吸困難が出現する可能性がある。

一般名商品名適応用法
ラロキシフェンエビスタ閉経後骨粗鬆症1日1回 60mg
バゼドキシフェンビビアント閉経後骨粗鬆症1日1回 20mg

デノスマブ

デノスマブは破骨細胞の分化や機能に必要なRANKLという体内物質に対するヒト型モノクローナル抗体製剤です。破骨細胞による骨吸収を抑制して骨強度を保つ働きがあります。

椎体骨折,非椎体骨折,大腿骨近位部骨折のいずれに対しても有効性が確立されている。

6月に1回、皮下注にて投与される。適応は、「骨粗鬆症」と「関節リウマチの骨びらんの進行抑制」である。

低カルシウム血症が起こる可能性があるため、カルシウム値を測定しカルシウム製剤によるカルシウム補充が勧められる。

一般名商品名適応用法
デノスマブプラリア骨粗鬆症
関節リウマチの骨びらんの進行抑制
骨粗鬆症
6ヶ月に1回、皮下注

ロモソズマブ

ロモソズマブは骨形成を抑えるスクレロスチンという物質に結合し、その働きを抑えます。骨芽細胞による骨形成を促進します。また、ロモソズマブは骨吸収をおさせる効果も指摘されています。

特定の物質をターゲットとしたモノクローナル抗体製剤です。

一般名商品名適応用法
ロモソズマブイベニティ骨折の危険性の高い骨粗鬆症1ヶ月 1回 皮下注射
12ヶ月まで

骨の形成を促進する薬

活性型ビタミンD3製剤

ビタミンDは体内で活性化し、活性型ビタミンD3となり小腸でのカルシウム吸収を促進し、骨形成を促進します。活性型ビタミンD3製剤も同様な作用を要します。

なかでもエルデカルシトールは以前に発売されている活性型ビタミンD製剤と比較して、骨密度を上げ椎体骨折を抑制する効果が示されています。

高カルシウム血症になる可能性があるため、カルシウム濃度の測定を行います。

一般名商品名適応用法
エルデカルシトールエディロール骨粗鬆症1日1回 0.75μg
アルファカルシドールアルファロール骨粗鬆症
副甲状腺機能低下、慢性腎不全、ビタミンD抵抗性骨軟化症などの諸症状に適応
骨粗鬆症
1日1回 0.5〜1.0μg
カルシトリオールロカルトロール骨粗鬆症
副甲状腺機能低下、慢性腎不全、骨軟化症、クル病の諸症状に適応
骨粗鬆症
1回0.25μg、1日2回

ビタミンK製剤

ビタミンKは骨強度を強化する作用がある。また出血傾向を改善させる効果も指摘されている。ワルファリンの効果を弱めるため併用は避ける。

一般名商品名適応用法
メナテトレノングラケー骨粗鬆症における骨量の改善
骨粗鬆症における疼痛の改善
1回15mg、1日3回

副甲状腺ホルモン薬

副甲状腺ホルモン薬は、骨を作る骨芽細胞を活性化する働きがあります。骨の形成を促進します。

本来、副甲状腺ホルモンは骨吸収を促進する働きがあるため、副甲状腺ホルモンが高い状態が続くと骨は脆くなります。しかし、断続的に副甲状腺ホルモンが高まると結果的に骨芽細胞が活性化し、骨形成に傾くことがわかりました。

副甲状腺ホルモン薬は連続ではなく、間を開けて投与することで効果を発揮します。しかし、長期間の投与が続くと骨強度が低下する恐れがあります。

一般名商品名適応用法
テリパラチドフォルテオ骨折の危険性の高い骨粗鬆症1日1回 自己注射
24ヶ月まで
テリボン骨折の危険性の高い骨粗鬆症56.6μg製剤=週1回 皮下注射
28.2μg製剤=週2回 皮下注射
24ヶ月まで
アバロパラチドオスタバロ骨折の危険性の高い骨粗鬆症1日1回 自己注射
18ヶ月まで
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