特徴
ビスホスホネート薬は、破骨細胞の働きを抑え骨吸収を抑制することで骨の強度を維持する薬です。
主に骨粗鬆症に対して使用されます。
骨吸収を抑える効果
ビスホスホネート薬は、破骨細胞が骨吸収しているときに取り込まれ、破骨細胞をアポトーシス(細胞死)に至らせる作用があります。その結果、骨吸収が抑制されます。
ビスホスホネート薬は、その構造から第一世代、第二世代、第三世代と分類されています。第一世代と比較して、第二、第三世代は強力に骨吸収が抑制されます。
- 第一世代:エチドロン酸
- 第二世代:アレンドロン酸、イバンドロネート(注射)
- 第三世代:リセドロネート(経口、週1回 or 月1回)、ミノドロン酸(経口、4週1回)
副作用
- インフルエンザ様症状:初回服用後に筋・関節痛、発熱を認めることがある。短時間で改善する。
- 胃腸障害(胸やけ、胃もたれなど):頻度は比較的多い。服用後は立位または座位を30〜60分間は維持することが重要。
- 顎骨壊死:後述
- 非定型的大腿骨骨折:稀。大腿骨の真ん中あたりの骨折が両側性に発生することがある。
ビスホスホネート薬の服用患者さんにおいて顎骨(顎の骨)壊死が報告されている。ただし、他の骨吸収抑制薬でも発生している。
抜歯などの侵襲的歯科治療後に発生することが多い
顎骨壊死のリスクとして、以下のような項目が確認されている。
【ビスホスホネート関連 顎骨壊死のリスク】
- 飲酒
- 喫煙
- 糖尿病
- ステロイド薬使用
- 肥満
- 抗がん療法
- 口腔内衛生不良
ビスホスホネート薬を服用する前に抜歯などの処置を済ませておいた方が良い。また、ビスホスホネート薬内服中の抜歯をする際には、休薬するか継続で処置をするか慎重に方針を決める必要がある。休薬する場合は、3ヶ月程度とされている。
注意事項
内服時の注意事項
ビスホスホネート薬は消化管での吸収が悪いため、用法に注意が必要です。コップ1杯の水で服用してから、他のものを飲み食いするには30分以上空ける必要があります。服用から30分間は立位や座位を保ちます。
特にカルシウムが含まれると薬の吸収がさらに悪化するので注意が必要です。
食道に問題があったり、30〜60分間立位や座位がとれない場合は服用できないこともあります。
顎骨壊死の予防
顎骨壊死を予防するためには、喫煙および飲酒を辞め、糖尿病の血糖コントロールを良くして、口腔内を清潔に保つ必要があります。
長期間投与について
長期間のビスホスホネート薬の治療にて顎骨壊死や非定型的大腿骨骨折のリスクがあがることがわかっている。投与から3〜5年経過したらリスクに応じて継続か休薬の判定を行う。
ビスホスホネート薬の種類
一般名 | 商品名 | 適応 | 用法・用量 |
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第一世代 | |||
エチドロン酸 | ダイドロネル | 骨粗鬆症 骨ページェット病 股関節形成術後の初期異所性骨化の抑制 股関節形成術後の進行期異所性骨化の抑制 脊髄損傷後の初期異所性骨化の抑制 脊髄損傷後の進行期異所性骨化の抑制 | 骨粗しょう症の場合 200mgを1日1回、2週間まで 再投与まで10-12週 重症の場合 400mgまで |
第二世代 | |||
アレンドロン酸 | ボナロン、フォサマック | 骨粗鬆症 | 注射剤、錠剤、ゼリー剤がある |
イバンドロン酸 | ボンビバ | 骨粗鬆症 | 注射剤、錠剤がある 錠剤は100mgを1ヶ月に1回 |
第三世代 | |||
ミノドロン酸 | ボノテオ、リカルボン | 骨粗鬆症 | 錠剤 50mgを4週に1回 |
リセドロン酸 | アクトネル、ベネット | 骨粗鬆症 骨ページェット病(17.5mg) | 骨粗しょう症の場合 2.5mgを1日1回 または 17.5mgを1週に1回 |
ゾレンドロン酸 | リクラスト | 骨粗鬆症 | 注射剤 1年に1回 |