糖尿病を治療する薬の選択

この項は日本糖尿病学会のコンセンサスステートメント「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム」を参照しています。

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糖尿病薬を選ぶ

現在、糖尿病の薬物治療は下記の種類があります。

これらのどれを選択すべきか、4つのステップで検討されます。

STEP
病態に応じた薬剤選択

糖尿病薬を選択する際にまず意識することは、糖尿病に至った要因が「インスリン分泌が低下」なのか「インスリン抵抗性」なのかです。

血液検査や尿検査などでインスリン抵抗性を調べることもありますが、簡単に推定するのは肥満があるかどうかです。

日本ではBMI(body mass index)が25 kg/m2以上で肥満と定義されます。

そこで、肥満(BMI ≥25 kg/m2)がある場合、インスリン抵抗性があると想定します。それで薬剤の選択するときに参考にします。

STEP
安全性への配慮

糖尿病の薬にはいくつかの注意事項があります。避けた方が良い状況は以下をご確認ください。

状況・病態避けた方がよいクスリの種類理由
高齢者SU薬、グリニド薬低血糖リスク
腎機能低下SU薬やグリニド薬効きすぎて低血糖
ビグアナイド薬乳酸アシドーシス
SGLT2阻害薬効果不十分
心機能低下チアゾリジン薬心不全増悪
ビグアナイド薬(特に循環不全の時)乳酸アシドーシス
肝機能障害(重度)ビグアナイド薬、SU薬、チアゾリジン薬は禁忌
STEP
併存疾患への良い効果も考慮

糖尿病に併存した病気に対して、糖尿病のくすりが良い効果を及ぼすことがあります。そのため、併存疾患に対する効果を踏まえて薬を選択することもあります。

併存疾患勧められる薬理由
慢性腎臓病SGLT2阻害薬腎症進行を抑える効果
GLP-1受容体作動薬アルブミン尿の発症抑制
心不全SGLT2阻害薬心不全の発症および進行の抑制
心血管疾患SGLT2阻害薬心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳梗塞)の発症抑制
GLP-1受容体作動薬心血管イベントの発症抑制
  • SGLT2阻害薬はすでに心不全薬としての地位を築いています。
STEP
患者さんの背景も考慮

糖尿病と診断されたら、治療は長く続いていきます。治療をきちんと継続していくためには服薬遵守率(処方通りに服薬する率)が保たれる必要があります。患者さんにとってどうしたら続けやすいかを考慮します。

  • 飲む回数が少ない(1日1回、週1回など)
  • 副作用が少ない(消化器症状、低血糖など)
  • コストが低い
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