アルコールの代謝と急性期の症状

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アルコールの吸収と代謝

アルコールの吸収

アルコールは胃ではゆっくり吸収されますが、小腸に入ると一気に吸収されてアルコール血中濃度が上がります。そのため、空腹で飲酒をしたり、アルコール濃度が高いアルコール飲料を摂取すると一気に血中濃度が上がます。

血中濃度の上昇により多くの症状が出現し、上がりすぎると命に関わります。

飲酒を楽しみたい時は、食事をしっかりと食べながら飲んだり、アルコール濃度の低いものを選びましょう。

アルコールの代謝

血液中に取り込まれたアルコールは肝臓で代謝されます。肝臓で酵素の働きで、アルコール(エタノール)はアセトアルデヒドに代謝され、その後酢酸に代謝されます。

アセトアルデヒドは、アルコールによる有害な症状の原因になります。顔が赤くなったり、気分が悪くなったり、眠気や二日酔いもアセトアルデヒドが関わっています。

アセトアルデヒドが酢酸に分解されると、無害な酢酸は肝臓以外の組織で代謝されます。

エタノールをアセトアルデヒドに代謝する酵素が、アルコール脱水素酵素です。このアルコール脱水素酵素の働きが人によって違うために、アルコールを飲んだ時の反応が人によって異なります。さらに、アセトアルデヒドを酢酸に代謝する酵素、アルデヒド脱水素酵素も人によって働きが異なります。

  • アルコールの分解が遅い:すぐにアセトアルデヒドにならないので顔が赤くなりにくい。次の日もアルコール臭が残り、ゆっくりとアセトアルデヒドに代謝されます。アルコール依存になりやすい体質。
  • アセトアルデヒドの分解が速い:お酒に強い
  • アセトアルデヒドの分解が遅い:ほとんどお酒が飲めない

アルコール濃度と体の反応

一度にたくさんのアルコールを摂取するとアルコールの血中濃度が上がり、以下のような反応が起きます。

STEP
大脳皮質が麻痺する

抑えられていた大脳辺縁系(本能や感情をつかさどる)の活動が活発になる

STEP
小脳が麻痺する

運動失調(千鳥足)状態になる

STEP
大脳辺縁系が麻痺する

記憶ができなくなる。

STEP
脳幹が麻痺する

生命を維持する機能が働かなくなると死に至る可能性がある

アルコール血中濃度と症状および脳への影響の推移

酔いの状態(血中濃度%)脳への影響
爽快期
(0.02-0.04)
さわやかな気分
赤くなる
陽気になる
判断力が少し鈍る
網様体がまひして、理性をつかさどる大脳皮質の活動が低下し、抑えられていた大脳辺縁系(本能や感情をつかさどる)の活動が活発になる
ほろ酔い期
(0.05-0.10)
ほろ酔い気分
手の動きが活発に
理性が失われる
体温が上がる
脈が早くなる
酩酊初期
(0.11-0.15)
気が大きくなる
大声でがなりたてる
怒りっぽくなる
立ったらふらつく
酩酊期
(0.16-0.30)
千鳥足になる
何度も同じことを話す
呼吸が早くなる
吐き気、嘔吐
小脳までまひが広がり、運動失調(千鳥足)状態になる
泥酔期
(0.31-0.40)
まともに立てない
意識がはっきりしない
言語がめちゃくちゃに
海馬(記憶の中枢)までまひが広がり、今やっていること、起きていることを記録できない(ブラックアウト)状態になる
昏睡期
(0.41-0.50)
ゆり動かしても起きない
失禁(尿・便)する
呼吸数が減る
亡くなる
まひが脳全体に広がり、呼吸中枢(延髄)も危ない状態となり、死にいたる
アルコール血中濃度と症状および脳への影響の推移

アルコールを飲む時は、自分や一緒に飲んでいる相手がどのレベルにいるかを意識しましょう。

楽しい状態を維持するためには、判断ができるうちに一旦飲むをやめたり、アルコール度数が少ないものに切り替えましょう。

急性アルコール中毒は死ぬこともある危険な状態です。決して周りの人にアルコールを強く勧めたり、一気飲みを強要してはいけません。

アルコールの代謝(酵素の働き)には個人差があります。同じ量を飲んでも酔いの状態は随分違うものです。サントリーが作成したサイトでは、体重からアルコール濃度を推定する計算があります。

飲酒の機会があってもほろ酔い期に留まる量を知っておけば、飲み過ぎて急性アルコール中毒になるリスクを減らせるかもしれません。(当然個人差があるので参考まで)

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