喫煙はがん、心臓病、脳卒中、呼吸器疾患など多くの重大な健康リスクと関連しています。たばこには多くの有害物質が含まれています。
たばこがいかに健康を害しているかについて知り、病気の予防と健康寿命の延伸のためたばこをすぐにでもやめましょう。自分と周囲の大切な人のために健康な状態を維持する努力をしましょう。
たばこによる健康被害
たばこは生活の質を下げ、早期死亡のリスクを高めます!
たばこに関連した病気は、禁煙することで予防できます。まずは喫煙で生じる健康被害について見ていきましょう。
喫煙は肺がんのリスクを上げる
喫煙習慣があると肺がんのリスクは4倍になる
喫煙に関して最も有名な病気は肺がんだと思います。
たばこを吸う男性は吸わない男性と比較して4.5倍も肺がんのリスクが高くなります(女性は4.2倍)※1。
- 1:Int J Cancer 2002;99:245
さらに、たばこを吸い始めてからの年数が長いほど、1日に吸う本数が多いほど肺がん発生リスクは高くなります。喫煙指数で表します。
喫煙指数=吸い始めてからの年数 x 1日の数本
つまり喫煙に関する肺がん発生リスクは、吸えば吸うほど高くなっていきます。逆にたばこをやめることができれば肺がんのリスクは減っていくと言われています。
喫煙は肺以外でもがんのリスクを上げる
禁煙習慣は、あらゆる臓器のがん発生リスクをあげる
たばこでは肺がんが有名ですが、たばこには多くの発がん性物質が含まれているので他ほ臓器でのがん発生リスクも増加します。
たばこと関連するがんが発生する臓器
- 口腔・咽頭
- 喉頭
- 食道
- 肺・気管支
- 肝臓
- 腎臓
- 胃
- 膵臓
- 子宮頸部
- 急性白血病
- 膀胱
- 結腸・直腸
喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスク
- 概要
以前から肺気腫、慢性気管支炎と呼ばれていた病気の総称です。喫煙習慣によって引き起こされることが多く「生活習慣病」の一つです。
たばこの煙や有害物質が気管支から肺へ侵入することで慢性的に炎症を引き起こします。炎症が起こると空気の通り道が狭くなり、二酸化炭素と酸素のガス交換が悪くなります。
肺には肺胞と呼ばれる非常に小さい組織が無数にあり、そこでガス交換されます。COPDになると肺胞が破壊されます。ガス交換できる場所が減るので、体内の酸素濃度は上がりにくく二酸化炭素が残りやすくなります。
一度COPDになってしまうと良くなることはありません。
- 症状
多いのは動いた時の息切れです。ぜーぜー音がしたり、息苦しさが強くて胸の痛みを感じることもあります。慢性的に咳が出たり、痰がでたりします。
急速に苦しくなって体の酸素濃度が低下してしまうこともあります。
- 原因
COPDになる最も多い原因は喫煙です。その他の煙や化学物質の暴露にて引き起こされることもあります。
- 治療
まずは禁煙が基本治療です。症状の強さに応じて、気管支を広げたり、慢性的な炎症の進行を抑えるための吸入療法を行います。
体の酸素濃度が低い状態が続く場合は、在宅酸素療法を行うこともあります。酸素発生装置に接続したチューブから酸素を吸いながら生活することになります。
COPDの慢性的な炎症は喫煙にて悪化しますが、禁煙してもくすぶり続けます。これは長期的に喫煙していることが影響しています。
COPDになると生活の質はかなり低下します。少し動いても息が苦しいし、酸素のチューブをつないだまま生活をすることになる可能性もあります。
喫煙は心血管病のリスクを高める
喫煙は、狭心症・心筋梗塞や脳卒中の原因の一つです。
ニコチンは、脈拍を増やしたり心臓の収縮を過剰にすることで心臓に負担をかけます。さらに、血管を収縮させる作用により血流を低下させます。
その他の有害な物質の影響で、動脈硬化は進みやすくなり、かつ血栓ができやすくなります。
心筋梗塞を起こしやすい要素が多く、リスクは非常に高くなります。
たばこによる健康以外の問題
たばこの周囲の人の健康も害している
周囲でたばこを吸っている人がいると、たばこの煙を吸ってしまう可能せがあります。これを受動喫煙と言います。
喫煙は受動喫煙のリスクを他人にも与えます。たばこを吸うことで、家族や友人、同僚などの健康にも影響を及ぼす可能性があります。たばこをやめることで、周囲の人々の健康を守ることができます。
受動喫煙でも、がんや心血管病のリスクが上がります。
胎児の受動喫煙
妊婦さんが喫煙をしたり、受動喫煙の状態になると胎児(お腹のあかちゃん)に以下のような悪い影響を及ぼします。
- 乳幼児突然死症候群のリスクが上がる
- 早産のリスクが上がる
- 低体重で生まれる可能性がある
- 先天的な問題が生じる可能性がある
妊婦さんはたばこを吸わない。妊婦さんの周りでたばこを吸わない。
たばこは外見にも影響を与えます
見た目を気にしている方は、たばこによる影響を知っておきましょう。
- 指、舌、歯が黄色くなる
- 歯が減ったり、口臭のリスクになる
- 肌があれて、しわができやすくなる
- 髪も痛む
たばこの費用は
喫煙は財布にも負担をかけます。最近ではたばこ1箱は500~600円のようです。
1日1箱たばこを吸う人は、年間18〜21万円浪費しています。10年たったら180〜210万円です。たばこを辞めることは経済的にも意味があります。
たばこをやめたら得られるもの
たばこがいかに有害であるかを説明してきました。最後に、たばこをやめることで得られるものについて紹介します。
- 健康寿命を伸ばす
- 肺の健康を維持
- 心臓の健康を維持
- ライフスタイル全体の改善
- 経済的な改善
- 周囲の方との関係改善
たばこをやめることは健康面、社会面と多くのメリットがあります。しかし、たばこの依存は強力です。たばこをやめることは簡単ではないでしょう。
一人では難しい場合、家族・周囲にサポートを受けたり、禁煙外来を受診し相談しましょう。