健康的な体重を維持するには、健康的な食事、身体活動、良い睡眠、ストレスのコントロールなどが必要になります。体重が過剰な状態であることは、これらのバランスが崩れていることを表しています。その結果、生活習慣病などの問題が生じることになります。
ここでは、肥満とメタボリックシンドローム(メタボ)について説明します。
肥満とは?
BMIと適正体重
BMI(Body Mass Index; ボディマスインデックス)は体重を身長(m)の2畳割った値です。身長と体重のバランスをみるための指数です。自分の身長と体重を合わせると下にBMIが表示されます。
日本肥満学会の分類では、BMI 25以上を肥満、18.5未満を低体重と分類しています。
【日本肥満学会による分類】
- BMI 18.5未満:低体重
- BMI 18.5から24.9:健康的な体重の範囲
- BMI 25以上:肥満
統計的に最も病気になりにくいBMIは22とされていて、適正体重の基準となっています。BMIが25を超えていたら、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの病気を発症しやすくなります。
適正体重=BMIが22になる体重
まずは、あなたの体重がどのレベルにあるのかを把握しましょう。
腹囲も測ろう
BMIが25を超える肥満がある場合、腹囲(お腹の周囲の長さ)も測定しましょう。腹囲が長いと特に内臓脂肪が多いと判断することができます。
お腹の脂肪は内臓脂肪と皮下脂肪があります。
- 内臓脂肪:腸などの内臓の周りにある脂肪
- 皮下脂肪:皮膚の下にある脂肪。全身にある「つまめる」部分。
過剰に蓄積した内臓脂肪の影響で、2型糖尿病、高血圧、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)を発症するリスクが高くなります。
【腹囲の測定】
- まっすぐ立ちます
- メジャーをおへその高さで水平にお腹を一周させます
- 息を吸って、吐いたところで測定します。この時腕は下に下がっています。
注意事項:お腹が出ていて、おへそが下に向いていたら測定する高さを変更します。肋骨の一番下と腰の骨の出っ張っているところの中間の高さで測定しましょう。(上図の右)
メタボリックシンドローム(メタボ)
メタボリックシンドローム(メタボ)とは?
メタボリックシンドローム(いわゆるメタボ)とは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態を指します(厚生労働省)。
つまり、お腹が出ている(内臓脂肪が多い)ことで高血圧、糖尿病、脂質異常などの生活習慣病が起きやすくなりますが、実際に生活習慣病が併発すると大きな病気に発展しやすくなります。
メタボリックシンドロームの基準
メタボリックシンドロームには、日本内科学会などが合同で発表した診断基準があります。
日本の基準では、腹囲の増加が必須項目であり、さらに脂質異常、血圧上昇、血糖上昇の3項目のうち2項目以上を満たした場合に「メタボリックシンドローム」と診断されます。
必須項目 | |
腹囲(ウエスト周囲径) | 男性 85 cm 以上 女性 90 cm 以上 |
選択項目(3項目のうち2項目以上) | |
高トリグリセリド血症 かつ/または 低HDLコレステロール血症 | 150 mg/dl 以上 and/or 40 mg/dl 未満 |
収取期血圧(上の)血圧 かつ/または 拡張期血圧(下の)血圧 | 130 mmHg 以上 and/or 85 mgHg 以上 |
空腹時血糖 | 110 mg/dl 以上 |
肥満・メタボの問題は?
腹囲があり(内臓脂肪が蓄積し)、生活習慣病の代表である脂質異常症、高血圧、血糖上昇を併発してしまった場合、動脈硬化が進行し虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)、脳卒中(脳梗塞、脳出血)などが発生するリスクが高い状態になっていると考えれます。
もはや健康な状態ではありません。心筋梗塞や脳卒中は発生してしまうと後遺症を残す可能性があり、運が悪いと命を落とします。今は症状がなくても体はむしばまれています。
メタボリックドミノ
「メタボリックドミノ」という概念があります。
これは、生活習慣の乱れをきっかけに肥満を代表とする体の変化が始まり、ひいては多くの重大な合併症が生じてしまうという考え方です。
メタボと診断されたら?
ライフスタイルを見直しましょう。そして、病院を受診し生活習慣病や肥満に対する指導、治療を受けましょう。