減量には食事が重要
体重が増える原因は、食事による摂取エネルギーが基礎代謝プラス活動による消費エネルギーを上回っていることが考えられます。
運動で消費エネルギーを増やすことは実は簡単ではありません。間食に豆大福を一つ食べたとします。豆大福1個は約230kcalくらいのエネルギーがあり、体重60kgの方が時速4kmでウォーキングすると約1時間くらい活動しないと消費することができません。
減量をする時は、まず食事について見直しましょう。
減量を目指す食事のポイント
減量を目指した食事療法のポイントを説明します。
1. カロリーを意識する
- 適切なカロリー目標を決める
- 低カロリー高栄養の食品
適切なカロリー目標を決める
カロリーの取りすぎを取り過ぎると体は脂肪として蓄積させ、体重が増加します。1日に消費されるエネルギーを超えるエネルギーを摂取すると体重が増えます。
逆に摂取エネルギーが消費エネルギーを下回ると蓄積した脂肪が溶けてエネルギーとして使用されることで体重が減ります。
年齢や性別、活動量に基づき、消費されるエネルギー(基礎代謝量)を計算し、消費エネルギーを少し下回るように摂取エネルギーを調整します。
基礎代謝量:私たちは何もしなくてもある程度のエネルギーを消費しています。呼吸や心臓の拍動、体温の調整など恒常性を保つために消費されるエネルギーを基礎代謝量といいます。
基礎代謝量の計算
身体活動レベル
身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い |
---|---|---|---|
活動の内容 | 自宅でも仕事でも一日のうち、座っていることがほとんどである。 | 座り仕事が中心だが、散歩や階段の上り下りなどをする。 | 立ち仕事や重い物を持ちあげる仕事、またはジムでのトレーニングやスポーツなど運動習慣を持っている。 |
指数 | 1.50 | 1.70 | 2.00 |
低カロリー高栄養の食品を選ぶ
野菜、きのこ類、海藻などのカロリーが低く栄養素が多く含まれる食品を積極的に選びましょう。
カロリーを抑えながら、満腹感を得ることができます。
高いカロリーの食品を避ける
高カロリーの食品は、脂質や糖質が多く含まれているものが多いです。
習慣的に高カロリーの食事をしないように気をつけましょう。
ビッグマックセットは何キロカロリー?
マクドナルドのホームページから、大人気ビッグマックは 526 kcalです。ポテトのM(410 kcal)とコーラのMサイズ(140 kcal)のセットにすると、トータル 1076 kcalになります。
セットのサイドメニューをポテトM(410 kcal)からサイドサラダ(10 kcal)、コーラをゼロカロリーの飲み物にすると540kcal削減できます。よい選択をしましょう。
2. 炭水化物の種類と量を工夫
- 適度な炭水化物制限
- 低GI食品を選ぶ
適度な炭水化物制限
炭水化物を制限するダイエットは効果が出やすい反面、エネルギー不足により筋肉量の低下や疲れやすさを感じることがあります。炭水化物を完全に排除するのではなく、適量に質の良い炭水化物を食べましょう。
茶色い炭水化物を:白米のごはんや小麦粉を使ったパンやパスタよりも、玄米や全粒パン、オートミールなどの茶色の炭水化物を選択しましょう。
夜は控えめに:炭水化物はすぐに使えるエネルギーです。活動の前に摂取すると効果的です。朝や昼に摂取し、夜は控えめにしましょう。夕食後に使われなかったエネルギーは体に蓄積します。
せんべいやあられも炭水化物です:せんべいやあられも米で作られており、立派な炭水化物です。できるだけ控えましょう。
白米ご飯の適切な量は、年齢、性別、活動量、目標とする体重などによって異なりますが、一般的な目安は次のようになります。
- 1食あたり100〜150g:100gのご飯は約168 kcal
- 活動量が少ない人や、体重を管理したい人は100g程度に
- 活動量が多い人は150〜200g
いつも使っている茶碗でどのくらいついだら150gになるか確認してみましょう。
低GI食品を選ぶ
炭水化物を摂取すると血糖値があがり、膵臓からインスリンが分泌されます。血糖値が急に上昇するとインスリンがたくさん分泌され、体重が増える原因になります。
血糖値の急な上昇を抑えるため、白米よりも玄米や全粒粉製品、野菜などの低GI食品を選ぶと良いでしょう。
また、どうしても間食をとりたくなった時も低GIの食品を選びましょう。ナッツ、チーズなど。市販のおやつにも低GIであることが記載されているものがあります。選択する基準にしましょう。
3. たんぱく質の十分な摂取
- 筋肉量の維持
良質なたんぱく質で筋肉量の維持
良質なたんぱく質は、筋肉や臓器、免疫力の維持に欠かせない栄養素です。
カロリーを制限すると筋肉も落ちるころがあります。そこで良質なたんぱく質をしっかり摂り、減量中も筋肉量を維持しましょう。筋肉量を維持することで、リバウンドのリスクを減らせます。
【良質なたんぱく質】
- 脂肪の少ない肉類:鶏むね肉、ささみ、牛ヒレ肉
- 魚類:青魚(サバ、イワシ、サンマ)は不飽和脂肪酸も豊富。缶詰も利用しよう。白身魚は低脂肪、高タンパク。
- 卵
- 大豆:豆腐、納豆、豆乳、エダマメ。植物性たんぱく質。
- 乳製品:ヨーグルトは無糖を選ぶ。チーズは低脂肪を。
4. 良い脂質をとる
厚生労働省によると、脂質の摂取量は1日の総摂取カロリーの20〜30%、飽和脂肪酸は7%以下に抑えることが推奨されています。
ある程度は脂質を摂取できますが、できるだけ飽和脂肪酸は避けましょう。逆に不飽和脂肪酸が多い食品は積極的に摂取しましょう。
- 飽和脂肪酸が多い(=避けるべき食材)
-
- 脂肪分の多い肉類:霜降りの肉、豚肉の脂身、加工肉(ソーセージ、ベーコンなど)
- 乳製品:バター、チーズ、生クリーム
- 特定の植物性油:ココナッツオイル、パームオイル
- ファストフードやスナック菓子
- チョコレート:特にミルクチョコレート、ホワイトチョコレート
- 不飽和脂肪酸が多い(食べた方がいい)
-
- 魚類(特に青魚)
- ナッツ類
- 植物油:オリーブオイルやキャノーラ油、アマニオイルやえごまオイルも
- アボカド
完全に飽和脂肪酸を避ける必要はありませんが、摂り過ぎに注意しましょう。
5. 食事のリズム
- 朝食を欠かさない:朝食を摂ることで代謝が上がり、一日を通してエネルギー消費がスムーズに進みます。
- 夕食を食べすぎない:1日頑張ったご褒美として夕食をしっかり食べる傾向になりやすいですが、夕食後はほとんどエネルギーを消費しません。足りないくらいでやめましょう。足りないかもともう一品つくるのをやめましょう。
- 夕食が遅い場合は特に注意:仕事などで夕食が遅い方もいらっしゃいます。できれば夕方に食物繊維が多い補食をとりましょう。遅い夕食の後は寝るだけですから、炭水化物や油を使った料理をできるだけ控えましょう。
6. 食事の食べ方
- 食べる順番:野菜 → たんぱく質 → 炭水化物の順で食べると、血糖値の急上昇が抑えられます。
- よく噛む:よく噛んで食べることで満腹感が得やすくなり、食べ過ぎを防ぎます。
- 水をこまめに飲む: 水分をしっかりとると代謝に役立ちます。また、空腹感を紛らし、食事量を減らしやすくします。
- ヘルシーな間食:空腹時にはナッツや昆布などの低カロリーの間食を取り入れます。菓子パンやせんべいは控えましょう。
7. アルコールを控える
減量を目指す時にはアルコールを飲まないことも重要です。アルコールが肥満に影響する理由は次のようなものが挙げられます。
- アルコールは高カロリー
- アルコールの代謝で中性脂肪が増える
- アルコールの代謝で脂肪の分解が減る
- 糖質含まれるアルコール飲料はさらに中性脂肪が増える
- 食欲が出て過剰な食事につながる
アルコールに適量はありません。できるだけ飲酒の機会を減らし、健康的な状態を維持しましょう。