「がん」と生活習慣・感染の関わり
「がん」は日本人が亡くなる原因の1位であり、かかりたくない病気の一つです。日本人の2人に1人は一生のうちに一度は「がん」になるというデータもあります。
これまで「がん」は誰がかかるかわからない怖い病気でした。
そんな「がん」の一部は生活習慣や感染が関わっていることがわかってきました。
ある研究では「がん」の中で生活習慣や感染が原因と考えられる割合が、男性で43.4%、女性で25.3%でした。
逆にいうと、”がんには予防できるものがある”と言えます。
ここでは、がんに関わる生活習慣と感染について、さらにがん検診の意義について説明します。
「がん」を予防する5つの健康習慣
前述のように「がん」には生活習慣病が関与している可能性があります。特に重要とされている健康習慣は、禁煙・節酒・食生活・身体活動・適正体重の維持 です。
この5つの健康習慣を維持すると、健康習慣がない方と比較して「がん」リスクが約4割低下するという報告があります。
「がん」はうまく対応できないと寿命が短くなる病気です。健康習慣を実践することは、健康な状態で長く生きることにつながっています。
禁煙は必須!
たばこを吸うと肺がんになりやすいことは有名な話ですが、たばこには肺以外にも多くの臓器でがんを発生させることがわかっています。
危険!たばこをやめましょう!
たばこは吸っている人以外にも、周囲にいる人のがんリスクを上げます。近くにいる大切な人をがんにしないようにしてください。
また、近くでたばこを吸っている人がいたら避けて過ごしてください。
たばこをやめることは健康面、社会面で多くのメリットがあります。
たばこの依存性は強力であり簡単ではないかもしれませんが、たばこはやめるべきです。一人では難しい場合、家族・周囲にサポートを受けたり、禁煙外来を受診し相談しましょう。
アルコールはできるだけ飲まない
アルコールによる健康被害は以前から指摘されてきました。さらに「アルコールとがん」についてのデータも蓄積してきています。
2024年2月に厚生労働省が「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表しました。そのガイドラインに示されていたアルコール摂取量とがんのリスクについての表を示します。
このガイドラインを参考し、アルコールはできるだけ飲まないようにした方が良いでしょう。飲んだとしても、エタノール量として20gを超えないようにします。そして、毎日飲酒する習慣をやめましょう。
エタノール量を計算してみよう
良い食生活に努める
がんに関係するとされる生活習慣は、「塩分や塩辛い食品をとりすぎている」「野菜や果物をとらない」「熱い飲み物や食べ物をとりすぎている」が報告されています。
つまり、以下の健康習慣にて「がん」のリスクを低下させることができます。
- 塩分を控える
- 野菜や果物をよく食べる
- 熱い飲みもの・食べものは冷ましてから食べる
できるだけ体を動かす
身体活動量が高い人ほど、がん全体の発生リスクが低くなると言われています。国立がん研究センターの報告では、男性で大腸がん、女性で乳がんのリスク低下を指摘されています。
WHOの推奨は、「軽く息が上がる運動を週に150分間」 または 「しっかり息が上がる運動を週に75分間」 です。
厚生労働省の勧奨は、「歩行程度の身体活動を毎日60分間 プラス 息が上がる運動を毎週60分間」(18-64歳)としています。
まずは、生活の中で今よりも少しでも動く習慣を身につけましょう。座っている時間を減らし、いつもより10分間は身体活動を増やすことを心がけます。
身体活動を増やすことは、「がん」を予防するだけでなく、あらゆる生活習慣病のリスクを落とし、将来的な要介護状態も予防できます。
適正体重を維持する
これまでの研究から、太り過ぎても痩せ過ぎても「がん」のリスクが高くなることがわかっています。適正体重を維持しましょう。
肥満や痩せの評価は BMI(body mass index)という指標が使用されます。現在の身長と体重から計算されます。日本肥満学会の判定基準では、BMI 18.5未満は「やせ」、25以上は「肥満」に分類されます。
適正な BMI 18.5〜25
あなたのBMIは?
「がん」と感染
日本人のがんの原因として、女性で1番、男性でも2番目に多いのが「感染」です。
「がん」につながるウイルスや菌が存在します。
B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスは、肝炎、肝硬変、肝細胞がんのリスクがあります。一度は肝炎ウイルスの検査を受けましょう。
ヘリコバクター・ピロリ菌感染は胃がんのリスクがあります。感染している場合は、薬を使って除菌することもあります。
ヒトパピローマウイルス感染は子宮頚がんのリスクになります。最近では、10代前半でのワクチン摂取が勧められています。